2023/05/31 21:30

ストロボ シリーズにフレットレスベースを加えたいという想いは以前からありました。
少々ロックよりで、演奏中に素早くトーンの調整ができるように
アクティブ回路を搭載する前提でデザインを進めていきました。

〝多弦でもバランスの取れた音質〟というのがストロボのコンセプト。
マルチスケールにすれば簡単なことですが、フレットレスをマルチで弾く自信はない…。
このコンセプトを〝ショートスケール6弦フレットレスベース〟に落とし込む必要がありました。

ボディー材にウォルナットを選んだのは、アクティブ回路に乗せやすい弦振動が欲しかったから。
硬めで立ち上がりの速いウォルナットの特性と、
ネックがブリッジの真下まで伸びるディープセットネックで弦振動を整えます。

木材にロスなく振動を伝達できる金属パーツや、指板面に施したエポキシ樹脂も重要なファクターです!



バイオリン製作に興味を持ち、加工方法に取り入れています。

接着には液体ニカワを使っています。
液体ニカワは湯煎の必要がなく接着力も強固!
(※冬場は多少の湯煎が必要でした)

動物性タンパク質が原料で、強固な接着力と硬化にかかる時間が長いのが特徴です。
逆に考えれば作業を急ぐ必要がなく、重宝しています!

化学反応による硬化・接着とは違い、接着面の両面に浸透して繊維どうしを繋ぐので
接着剤の厚みがなく振動ロスも少ない訳です。



塗装はオイルを使用しています。
しかし弦振動を守る為の塗装とは、木材内部に浸透するより
楽器の表面に薄い〝塗膜〟として存在するべきだと考えています。

あくまで僕の主観ですが、
一般のオイルフィニッシュ製品は、音が散って聞こえるのが気になります。
一方、薄い塗膜を持つ楽器は トーンに落ち着きと艶があるように聞こえるのです。

手当たり次第テストを重ね、辿り着いたオイルは天然植物油が原料。
化学物質やシンナーのような有害物質は含まれていません!
バイオリンニスのように何十回も塗り重ねることにより、
薄いながらも塗膜を作ることができます。

また、オープンポア式といって、太い導管を埋める為の〝との粉〟も使用していません。
弦振動の妨げになる物を、なるべく付与したくないからです。


本作はグリップ部分がマットでサラサラの仕上がりに、
ボディーは艶のある塗膜に仕上げてあります。